doctor

ドイツへの
行きの飛行機での事…弟のタケと2人。

CAの人が具合が悪くなった様で
所謂、CAブースで
若いCAが倒れていて同僚達が彼女を囲んで
何やらドイツ語で喋っているわけですよ。

たまたまトイレから出た私は
「日本人の医者がいますけどお手伝いしましょうか?」と、言うと
「え?!!本当ですか?!ありがとうございます!よろしくお願いします!」と、言う。

すぐにタケを呼んで
彼がバイタルを取って瞳孔を確認して
色々と確認した後
“No problem”(問題ないですよ)と、言った。

そのCAの人は新人さんだった様で
緊張による疲れだったのか…要するにたいした事はなかったらしい。

瞳孔を確認した時
タケが”beautiful eyes”みたいな
冗談も言っていましたし。

結果的にそのCAの人はちょっと疲れ気味で
お腹の調子が悪かっただけみたい。

さて…帰りの飛行機での事。

私は先に帰ったので1人での機内。

すると「急病人がいます。どなたかお医者様がいたら
CAにご連絡下さい!」とアナウンスが流れたわけですよ。

しばらく様子をみていたが
医者が機内にいないのね…。

一応、私も歯“医者”だし
緊急時の対応は大学でも習ったしな…と、思い
手をあげたわけですよ…。

“I’m here!”(私はここです…とか、私がいます…的な…)とか言っちゃって。

一応、“I’m a doctor”(私は医者です)とは言っていませんからね…嘘になる。

“here”という曖昧な言葉でお茶を濁したわけですよ。

まぁ…
以前もスーパーで買い物中
倒れた人がいて
心臓マッサージとした経験もありますからね…。

するとファーストクラスに座る
体調不良の方の所に案内された。

スイス人のご夫婦でご主人の具合が悪いらしい…67歳。

症状を聞くと
動機がして息苦しいと言う…。

心臓の持病を持っているのだそうな。

バイタルを確認して
懐中電灯を持ってきてもらい瞳孔をチェック。

しかし、一連のチェックをした後
たいした事ないな…と、判断…(勝手にね)

気圧の関係なんですかね…。

アスピリンやバファリン等の
所謂、血液サラサラ薬は
既に服用済みだとの事だったので
シートを倒してもらい
酸素マスクを持ってくる様、クルーの人に指示をして
暫く様子をみていたら
彼はだいぶ落ち着いた様で
「ありがとうございます…“ドクター”」と、言われたわけです。

ドクターじゃないんだけどな…
デンティスト(歯医者)なんだけどな…と、思いつつ
引っ込みがつかないまま
自分の座席に戻ったわけですよ。

さて…私はその後、
1人で本を読みながら
ジントニックのダブルを飲んでいたわけです。

3回目にたのんだ時に
CAの人に
「大変申し訳ないのですが、お酒を控えてもらえませんか?」と、
言われたわけです。

亭主かよっ!

私は怪訝そうに
「何で?」と、言うと
結局、例の体調不良の方が
何かあった場合に対応して頂かないと困る…と、言うわけですな。

こっちが困るぅぅぅ。

タケもいないし…。

しかし今更、「私は医者ではなく歯“医者”です…」とは言えない…。

すると
あちらも悪いと思ったのでしょうかね…。

それとも
スイス人の方の近くに待機して欲しかったのか…。

シートを超アップグレードしてくれたんです。

ファーストクラスの上の、
超ファーストクラス(?)なのかな…?

部屋ですよ!部屋!

「こちらでおくつろぎ下さい…」みたいな。

すごかったですよ!超ファーストクラス!(って言うのかな?)

しかしですね…
もう…こうなると神頼みですね。

「歯が痛い…」なら完璧に対応できますがね。
よりによって「心臓」って…。

「おくつろぎ下さい」って言われても
くつろげませんってば!!!!
スイス人のその彼に何かあったら困りますもん。

ただ私も歯“医者”ですし
医者の娘ですからね。

小さい頃から親を見てきた経験もある。

また歯科大学でも
緊急時の対応は学びますからね…。

良かった…きちんと授業を聞いていて…。

私はその超ファーストクラスで
オレンジジュースが入ったグラスのストローを
チュウチュウ吸いながら
「やるしかないな…」と、腹をくくったわけです。(←何のぉ?!)

アップグレードのシートは有り難かったですが
全く持って落ち着かない。

一応、その機内では
私は彼の主治医(?)ですから
ちょこちょこ彼の所に行って
“Are you OK?”(大丈夫ですか?) と、確認。

結果的に彼はその後、体調も安定した様で
食欲もあり
事なきを得たわけです。

成田空港に着いて
最後にそのご夫婦、諸々のスタッフの方々に
「本当にありがとうございました…“ドクター”」と言われ
そのスイス人のご夫婦と連絡先も交換致しました。

すると今朝、そのご婦人からお礼のメールを頂戴した。

……もう無理。ウソつけないし…。

そんなわけで
「ご主人様の体調が無事で良かったです。
実は私は医者ではなく、歯医者なんです。
ごめんなさいね。
ただ一応の応急処置は出来ますから
この度は対応させて頂きましたけれども…云々」と
お詫びの返信メールをしたわけです。

すると彼女は
「医者でも歯医者でも関係ありません。
あなたがいて下さった事で
我々はフライト中
本当に心強かったです。」というメールを頂いた。

恐縮いたしました…。

真実は小説より奇なり…。

人生って色々な経験がありますね…。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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