上っ面

人に褒められて腹を立てる人は少ないと思う。

お世辞でもいい。
お世辞だとわかっていても
言われれば悪い気はしない。

例えば診療室で
私が患者さんの親知らず…それも横に向いて生えているものを抜歯したとする。

ま、自分で言うのも強縮ですが
これが私はとても早く抜けちゃうんだな。
上手い。

クリッ…と、歯が抜けると
自分で「天才だな…」と、周りに聞こえよがしに呟く。

そして更に
笑気麻酔で半分眠っている患者さんに
「私って天才だよねぇ…」と、同意を求める。

患者さんにしてみればいい迷惑である。

せっかく気分よく寝ていたのに
いちいち
「はい。先生は天才ですねぇ」と、答えなきゃいけない。

場合によっては私に拍手を強いられる事もある。

面倒だと思う。

しかし
それを聞いて
私は満足そうに頷き
アシスタントをしていたスタッフをチラッみる。

ここで
うちのスタッフは人間が出来ているので
要領を得ている。
すかさず「もう…先生〜っ!すごいですねぇ〜!」と褒めてくれる。

それを聞いて
私は更に満足そうに頷き
鼻歌まじりにその場を後にする。

これがいつもの一連の流れ。

しかし昨日は
アシスタントが衛生士の順子さんだった。

頭の回転が早い彼女は
私の発言に対してポンポンとリズミカルに切り返してくるのですが
何ていうのかなぁ…
言葉に心がこもっていないと申しますか
高田純次的なんだよなぁ…。

半笑いしながら
「ハイハイ…、先生はマジで天才っすね」とか
「残念―っ!先生の抜歯、見られなかったぁ…うっひゃっひゃっ」とか
言葉が終始嘘っぽい。

「順子さん…全然、残念だなんて思ってないっしょ?
相変わらず上っ面発言が多いよねぇ…」と言うと
「うひひ…。」と、変な含み笑いをする。

ま、これが面白いのですがね。

終始その調子なのですが
お蔭様で彼女の上手なアシスタントのおかげで
その日もスムーズに治療がおこなえました。


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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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