昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記
前橋の昭和大橋歯科院 院長Dr.チコの日々の想いを綴っています。
いい人
普段、人と話す機会が多い仕事柄
私生活では喋らないで済むのであれば
出来ることなら喋りたくない…という場面がある。
例えばタクシーの中での運転手さんとの
「最近はめっきり冷え込んできましたね」的な
当たり障りの無い話や
はじめて行く美容院での
「お仕事は何をされていらっしゃるんですか」的な
本当は私の仕事なんて知りたいと思ってないでしょう?と思いつつ
「主婦です」と答えてしまう様な
一連の会話。
正直なトコロ「面倒だな」と、思ってしまう。
うちから高崎駅まで行くときにタクシーを呼ぶと
かなりの高確率でKさんが来る。
Kさんは本当に優しいいい人で
私の父と同じ年という事もあり
私は親近感を持っている。
ですからKさんとは
家から駅までの車中…私は誠意を持って対応させて頂こうと思っている。
まず
今日も東京ですか?という話から始まり
最近はめっきり冷え込んできて寒くなりましたねとなる。
そしてKさんは
「でもね、私は昭和43年に高崎に来ましてね…
その当時はもっと寒かったんですよ」と、仰る。
ええ。存じ上げていますよ。
昭和43年に高崎に来てO町に
当時、一坪1万9千年で54坪の土地を買われて家を建てたんですよね。
その土地に数年前に二世帯住宅を建て直した途端
息子さん夫婦が離婚してしまったんですよね。
ええ。存じ上げていますよ。
6年前から毎度車中で同じお話を繰り返し伺っていますから。
その都度私が「えぇ?離婚しちゃったんですか?
それではその二世帯住宅はどうされたんですか?」と
その都度驚いたフリをして
6年前から毎度同じように聞いてみると
「女房と二人きりで住んでいますよ。」
ええ。存じ上げていますよ。
その後、息子さんは入り婿として再婚されて
現在は遠い所でお嫁さんの家族と住んでいらっしゃるんですよね。
よく行く銀座の中国式足裏マッサージのお店。
施術をおこなってくれるのは
中国の福建省出身の女性Tさん。
彼女もまたとても優しいいい人。
出来る事なら施術中…寝てしまいたい。
しかし彼女はよく喋るのですね。
おまけにあまり日本語が上手ではない上に
いくつかの日本語を間違って覚えている。
両親→チチハハ
女性→カノジョ
貧しい→シズカ
噂をする→△$л★…
都会→お金持ち
高学歴→お金持ち
お金持ち→お金持ち
「中国…お金持ちのカノジョ…結婚…ちょっとオソイ…。
でも…シズカなカノジョ…結婚…ちょっとハヤイ…。
もし…シズカなカノジョ…結婚…遅い…、
近所の人…皆…△$л★…。
身体オカシイんじゃないの?…皆…△$л★…。
チチハハ…シンパイ…。
男性…大切…自分…家建てる…大切…。
もし家建てない…シズカ…お嫁さん…来ない…。
近所の人…皆…△$л★…。」
この調子が延々続く。
彼女の話を要約すると
「中国では都会の比較的高学歴の経済的余裕のある女性は晩婚傾向にあり、貧困地域の女性は早く結婚する。また男性は適齢期になると、自分の家を持つことが重要。経済的余裕があるという証明となるわけである。適齢期を過ぎても結婚しないと、近所の人は、それが女性であれば“身体に欠陥があるんじゃないか”と噂し、それが男性であれば“家も持てない甲斐性なしだから嫁が来ないんだ”と、噂をする」という事らしい。
その話が本当かどうか定かではないが
本当であれば何だかやりきれない気がする。
そして彼女の話は続く
「日本…好き…
日本のカノジョ…自由…30歳、40歳結婚しない…大丈夫…
近所の人…何も言わない…自由…
日本のカノジョ…お給料いっぱい…結婚…必要ない…
そして親切…
駅…聞くと…皆親切…教えてくれる…
以前…若いカノジョ…連れて行ってくれた…駅まで…
私…涙…出るね…」
私はいい人には弱い。
ちょっと面倒だな…寝たいな…と、思っても
これからもKさんのタクシーには乗り続けたいと思っているし
必ずTさんを指名するようにしている。