遭遇A

最近また読書熱が再発し
暇を見つけては色々と読みあさっている昨今。

昨夜は「カキフライが無いならこなかった」
(せきしろ×又吉直樹著 幻冬舎)を手に取る。

「妄想文学の鬼才と、お笑いコンビ ピース の奇才が読む
センチメンタル過剰で意識異常な自由律俳句四百六十九句。
散文二十七篇と著者二人の撮影による写真付。」と、帯カバー。

“鬼才”という言葉にめっぽう弱い私は
すぐさま購入した。

確かにこの自由律俳句は面白かった。
 

 注文が繰り返され頷くしかない

 豪快に食べるが誰も見ていない

 転んだ彼女を見て少し嫌いになる

 またカット世界チャンピオンの店だ

 登山服の老夫婦に席を譲ってもよいか迷う

 すまないが狐の影絵しかできない

 濃いめ硬め多めとははっきりと言う


いいでしょう?!

そして同書の散文も面白いし著者の才能も素晴らしいと思う。しかし…
読み始めてすぐ
「なんか太宰治っぽいなぁ…」と、感じた。

読み進んでいくと
著者は太宰治の人間失格の一文を引用し
尚且つ、太宰治のファンであることを自白(?)した。

ここで私はニヤリとした。

数ページ読んだ段階で早くも私は“太宰っぽい”と感じ、
著者が太宰ファンであることを見抜いた私ってすごくね?

嗚呼…誰かにこれを自慢したい。

しかし辺りを見回しても誰もいないので諦めた。

しかしなんだな…。
太宰好きって事は
著者は意外とお若い方?

著者のプロフィールを見てもういちどニヤリとした。

1980年生まれ。

若いじゃん。

年齢層まで見抜いた私ってすごくね?

嗚呼…誰かにこれを自慢したい。

しかし辺りを見回してもやっぱり誰もいないのでもう一度諦めた。

若い多感な頃に太宰治の人間失格を読むと
もうそれは凄い戦慄を受け
一気に太宰が好きになる。

主人公の葉ゾウ(太宰治)と自分を投影させるから共感出来る。

私もさうでござゐました。

娘時代…
金は無いけど時間はある。

これといってする事も無いので
寝転がって天井の木目を睨む。

ゆっくりと時間が過ぎていく…。

てっきり私の事を好きだと思っていた同級生の男の子が
実は私では無く、私の友人を好きだという事がわかった事を思い出す。

嫌な気持ちがする。

クリスマス…嫌い。

私って世界一…とまでは言わないけれど
結構不幸なオンナだよな…。

そんな時に人間失格に出会うと…イチコロです。

しかしある日突然
彼の本質を知ってしまう時が来るのですな。

私は実はそれはとっても時期が遅く
今年のお正月頃。

夫の
「人間失格には色々な解釈があるんじゃないの?
見方を変えればさ
『私は駄目な人間なのでございます』とへりくだっておいて
実は
『私以外の全ての人間(世間)が失格なんだ』って事を言いたいんじゃないの?
要するに太宰治は究極のナルシスト…かもよ」発言。

友人の香弥子の
「太宰は女々しい」発言。

味一味ののぶちゃんの
「太宰はさ、死ぬ死ぬって言っておいて
全く死ぬ気は無かったんだよ。
全部“未遂”じゃんか。
最後は間違って死んじゃったけどね。」発言。

文学に詳しい友人や夫の発言を聞いて
彼に自分を投影させるのではなく
もう少し冷静に距離を置いて
再度読んでみる。

うーん、確かに究極のナルシストってのも
わからない訳ではないな、という感も否めず
太宰的に言えば、ちょっと興が覚めた気がした。

そして「カキフライが無いなら来なかった」を
私はかなりの上から目線で
尚且つ
「あなたも…いつか気がつく時が来るわよ…」的な
お姉さんの様な気持ちで
読み終えた。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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