お紅茶

前回の映画の話で
思い出した友人がおります。

30年以上前の事。この事は以前も書き込みした事があると思います。

当時はカフェというものが存在せず

喫茶店に行っても
紅茶を頼む時は

レモンの輪切りが添えてあるレモンティー
生クリームor牛乳を入れるミルクティー
何も入れないストレート

この3つしかなかった様に思います。

また家で飲む紅茶は
リプトンのティーパックしかありませんで
クリープという粉末の粉を入れるとミルクティーになったわけです。

ある日、私はその友人の家に遊びにいったら
お母様が「お紅茶でよろしいかしら?」と、仰るので

紅茶じゃなくて
”お紅茶”って言うんか…と、思いつつ「はい。」と、言うと

「何がよろしいかしら?」と、聞かれたわけです。

「ミルクティー」と、言おうとしましたが
何やら直感的に言わない方がいいな…と、判断し

「何がいいんでしょう…?」と、言うと

「アールグレイでいいかしら?」と、言われ

何それ?と、びっくりしたのと
ティーポットで入れて頂いたのにもびっくりした。

またロイヤルコペンハーゲンで
特注で作らせたというティーカップの説明を
長々と拝聴させて頂き

ロイヤルコペンハーゲン?!!し…知らんがな。

30年前ですからね。

当時の私は子供でしたから
驚きの連続でございまして
”お紅茶”も、正直…不慣れなため、
あまり美味しいとは思えなかったのですが
ロイヤルコペンハーゲンのティーカップに
ロココ調のソファの座り心地の悪さばかりが印象に残っております。

家に戻って

「何故、我が家にはアールグレイなるものがないのか。」

「何故、我が家はロイヤルコペンハーゲンではなく
銀行からもらった茶碗か
魚の名前の漢字が沢山描いてある
お寿司屋さんの湯のみ茶碗で紅茶を飲むのか」

「何故、紅茶を”お紅茶”と、言う場合もあるという事を
躾けの一環として教えてくれなかったのか」


この3点に関して
母に強く問いただした事がある。

アールグレイ問題に関しては
「わけのわからない事を言っていないで勉強しろ」

お寿司屋さんの湯のみ茶碗問題に関しては
「あら、スズラン(地元のデパート)で買ったカップがあるわよ。
ロイヤルかなんか知らないけど。
スズランだから物はいいんじゃないの?(いかにも地元の人の発想)
だけど、お客さん用だから使っちゃダメよ!
湯のみ茶碗でいいじゃないの!
訳のわからない事を言ってないで勉強しろ」

”お紅茶”問題に関しては
「躾けぇ?冗談じゃないっ!雑巾掛けはしっかりと教えてあるっ!」

という様な
全くもって腑に落ちない事を言われた記憶あり。

ちなみに会話を聞いていた祖母が
「漆の器があるがね」と、トンチンカンな事を口走り
余計にイラッとさせられた。



彼女のお宅は玄関を入ると
ミロのヴィーナスの様な像があり
庭には小便小僧が置いてあり
当時は圧巻でございましたが

今、考えてみると
家の内装とヴィーナス等のバランスが
微妙だな…とも思えなくもなく

ロイヤルコペンハーゲンや
セーブル、ウェッジウッドの食器は素敵だとは思いますが
どちらかというと
萩焼の食器の方が私の好みでありまして

そもそも
なんだかんだ言って
お寿司屋さんの湯のみ茶碗というのは
手触りもよく丈夫ですし
よく出来ていると思いますし

自分が家庭を持ってみると
結局、100均の食器を愛用してみたりするわけで。


イギリスにバースという小さい街がありまして
そこに住む友人の家に1週間程、滞在した事がある。

そちらのお宅でお祖母様に紅茶を入れて頂いたわけですが
手作りの
スコーンやサンドイッチを軽くつまみながら飲んだ紅茶は
イギリスだから…という事もあったでしょうが
「おお!これが噂のアフタヌーンティーかぁ…」と
ちょっと感動した記憶があります。

結局のトコロ
その家庭の生活習慣にあった物というのが
一番美味しいわけでして

確かに母は”お紅茶”は、得意分野ではなかったのでしょうが
鉄瓶でわかしたお湯を使って入れてくれる日本茶は
トロリとして絶品ですしね。

今、思えば、友人の
”お紅茶”のお母様はとても苦労された方で
当時は40代半ば位だったと思います。

お紅茶って言ってみたかったのだろうなぁ…と、
お母様の気持ちがわからなくもないな…と、思いました。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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