アルミ鍋

取引先の金融機関の担当者の彼から
いい話を聞いた。

母の手作り弁当の話。

彼が小さい頃、
家族旅行に行ってドライブインで休憩する。

売店は沢山あるんだけど
彼のお母様は
作ってきたお弁当を出して家族で食べたという。

子供心に
「せっかく売店があるわけだから
買って食べたいな…」と、思ったけれども
彼が大人になってみると
お母様の気持ちがわかるし感謝しているという。

ちょっとその気持ち…わかるなぁ…と、思った。

私の大学時代に父兄懇談会の様なものがあった。

懇談会の後に
仲のいいお母様方から
「一緒にお食事でもいきませんか?」と、誘われるわけですね。

ところが私の母は
おにぎりと卵焼き…そして煮物やらおでんを
大きな鍋に作って持ってきていたので

「うちは作ってきたんですよ。よかったらご一緒にどう?」なんて言って
友人とそのお母様をお誘いして
うちで食べた記憶がある。

あれは娘時代の私はとても恥ずかしかったんですね。

鍋もル・クルーゼの鍋ではなく
アルミのデカいヤツ。

昔…昭和の時代
よく石油ストーブの上に乗っていたあれですね。

母と特に仲のよかったそのお母様は
外交官夫人で
元華族のご出身の方でして
肝心の友人は「元華族の血は絶えたんかい…」と、思わせる程の
ヤンチャなヤツでしたけれども
時々、彼の世田谷の実家に遊びに伺うと
老舗のお寿司屋さんに連れて行って頂いたり
「鰻はここのが一番」なんて仰る
格式のあるお店に
よく連れて行って頂いた…ので

母の手料理を
「植原さん…おダシが効いて美味しいわねぇ…」なんて言って
友人もそのお母様も召し上がってくださいましたけれども
よりによってアルミ鍋のおでんかよっ!と
何だか私は恥ずかしくて終始不機嫌だった。

しかし今となると
一人暮らしをしている娘に手料理を食べさせたい…という
母の気持ちはわかりますし
例えそれがアルミの鍋でも
母は全く気にならなかったのだと思います。

そういった母の気持ちがわかるから
友人のお母様も
とても喜んで召し上がってくださったのでしょうね。

元華族ご出身のお母様でも
うちの母の様な田舎のオバチャンでも
母親は母親なんですねぇ…。

懐かしい思いでです。


ちなみに…自分で家庭を持った当初は
ル・クルーゼの鍋を揃えたりしましたけど
重いし高いし…
結局、私自身もアルミ鍋を愛用しております…。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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