空虚な会話

例えばTVの対談番組というのは
司会者とゲストがいるわけですよね。

あの司会者の力量というのは
そのゲストに
「あなたの話が聞きたくて聞きたくて仕方がないんです。
すごく楽しみだったんです」というのが
どれだけ“自然”に表現できるかによると思う。

おそらく司会者の方は
そのゲストの事は予めリサーチしてあるのでしょうね。

色々な質問を投げかける。

「へぇ…そうだんですか!!!」なんていう対応も
大げさ過ぎてもダメ。

自然にね…ついついゲストが
喋りたくなっちゃう様にもっていくのがプロだと思う。

もう…マニュアル通りの質問をしているなぁ…。
本当はそのゲストの事なんか
全く興味がないんだろうなぁ…なんて
観ている側に、思わせちゃうのは最悪だし
その質問に答えるゲストも気の毒だなぁ…と、思う。


さて…
何故突然にそんな話をしたかと言うと
うちの出入りしているある業者さんの話。

私のオフィスに入ると
部屋の奥の窓脇に机があり
そこに私のPCがある。

朝の仕事の前に
メールのチェックなんかをしていると
各業者さんが納品をして
“納品書”を私のオフィスの入口脇にある
納品書BOXに入れる。

私はPC画面を見ているわけですが
後ろの方で
「おはようございます」と、業者さんが言う。

「おはようございます。ご苦労様です」と、私が言う。

ここで業者さんは帰っていくわけです。

ところがですね…
Sさんという方は
おそらく私に気を使っているのでしょうね。

必ず話しかけてくるんですね。

それもね…
多分、彼も面倒くさいなぁ…と、思っているのが
ちょっと伝わってきちゃうんですよね。

だったら
そのまま納品書だけ置いて帰ればいいのに
とてもいい人なんですね。

気を使ってくれているのだろう…けど
逆にそれが裏目に出ちゃうのね。

昨日の朝も
仕事前の時間にコーヒーを飲みながら
患者さんからの
問い合わせメールの返信を打っていたわけです。

これも重要なお仕事ですからね。



「おはようございます」と、Sさん。

その後、すぐ帰ればいいのに

「先生、コレ何ですか?」と、聞いてくる

面倒くさいなぁ…と、思いつつ
キーボードを打つ手を止めて
後ろを振り返る。

「DVDよ。」

見ればわかるだろうが…そんなん。




「先生、映画が好きなんですか?」

うわぁ…そうきたか…。

これから私が映画論について喋ってもいいけどさ。
ついてこられるんですか?

なので
「Sさんは映画は好きなの?」

質問を質問で返す。

これはFBIの本で知ったのですが
質問者をかく乱させる手法らしいですよ。
主導権を奪うのね。

すると彼は
「いやぁ…全く観ないですねぇ…」

……。
だったら映画の事なんか聞いてくるなよ…。

2人の沈黙…。




「TVドラマなんかは観るんですか?」

あのさ…Sさん。
民放は一切観ないって100回以上は言っているよね!!!

結局、毎度おざなりに聞いてくるから
彼は覚えていないんでしょうね。

「民放のドラマは一切観ないけど
海外ドラマは相当観るわね。」と、言うと

「あ!俺も観ましたよ『24』」

えーーーーーーっ?!
今、それなのぉーーーーっ?!

2人の沈黙…。




「最近の“お笑い”ってつまらないと思いません?」と、彼。

だから民放は観ないって言っているよね!!

でも一応
「うん…そうなのかねぇ…。」

2人の沈黙…。


「いやぁ…。俺も昔はお笑いが大好きで
よく観て笑っていた時代もあったんですけどね…。(遠い目)」

いやいや…Sさん!
ここで
何でセンチメンタルになっちゃってんのぉ?



毎度、この調子のSさん。

おそらく彼は私の映画好きとか
ライフスタイルなんか
全く興味がないのでしょう。

でも彼はとっても気を使う人で
何か喋らなきゃいけないと思いつつ
プロの司会者ではないわけですから
本当につまらない質問を
私に投げかけちゃうのね。

そういった彼の気遣いがわかるので
「つかさ…この空虚な会話はやめない?」
とは言えないんですな。

本当に困ったものです…。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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