寅さん

最近、WOWOWで
「男はつらいよ」、
ご存知の寅さんシリーズを毎日やっておりまして
クセになって観ております…。

この「男はつらいよ」は
全48作あり
30作目を超えた時点で
世界最長寿番組としてギネスブックに登録されている事は有名。

もともとはTVシリーズとして
昭和42年に放送されたものが
昭和44年に映画化されたのがはじまりらしい。

私は特に寅さんの「口上」が大好きなんですよ。

寅さんが縁日で例えば下駄を売る時。

商品の周りにお客さんが集まってくる。

ここからの寅さんの口上が始まるわけですよ。

「さぁ…皆さん、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。
本日は大売り出しね。
黙ってないで…ホラ…手に取って見てって頂戴…ね。
どお?気に入った?
さぁ…(ここからが私が大好きなヤツ)
まがった数字が、ホラ、二つだ。
兄さん寄ってらっしゃいは吉原のカブ。
仁吉が通る東海道。
憎まれ小僧が世にはばかる。
(一部省略)
三三六法で引け目がない。
産んで死んだが三島のお千。
(一部省略)
京都は極楽寺の門前で
かの有名な小野の小町が
飲まず食わずで野たれ死んだのが三十三。
とかく三十三というのは女子(おなご)の大厄だ。
ね。お大事にしてね。
はい、手に取ってどうぞ…見てやって下さいよ」

この丁々発止の口上が
すごいなぁ…とうならされる。

他に有名なのが
「見上げたもんだよ、屋根やのフンドシ」とか

「ヤケのヤンパチ、日焼けのナスビ。
色は黒くて食いつきたいが
あたしゃ入れ歯で歯が立たないよ」なんてのもありますよね。

小さい頃から
落語…特に5代目志ん生の大ファンだった私は
この江戸っ子節が
小気味よくてたまらない。

さてこの寅さんですが…
昔からTVでやっていると
何となく観ていましたが
ここ数日
真剣に(?)寅さんと向き合ってみると
ちょっと彼に対するイメージが変わってきた。

寅さんといえば
必ず美しい女性に恋をして
ものすごく勝手に盛り上がっちゃうんだけど
結局最後は失恋しちゃう…というのがパターン。

しかし
案外、寅さんが
相手の女性をふっちゃうパターンも多い事に気がついた。

これが以外だったんですね。

寅さんもその女性の事を好きなのに
冗談でごまかしてしまって
相手からのプロポーズをうやむやにしちゃう。

これは
照れ隠しなのか…
それとも
「俺みたいなヤクザな渡世人なんかと一緒になっても
不幸になるぜ」という相手に対する思いやりなのか…。

TVの前で
「もう…寅さんっ!
じれったいなぁ…。
こんないい縁談…もう他にはないわよっ!」と
こちらも地団駄を踏みたくなる。

ここ数日
一緒に寅さんを観ていた夫に言わせると
「結局、結婚するのが面倒なんだよ。
結婚より自由を選びたいんじゃないの?」との事。

ふ〜ん。
そんなもんなのかな。

しかしこの寅さん。

確かに女性にはモテるだろうなぁ…と
思う様になってきた。

まず
思いやりがある。
頼りがいがある。
そして
会話をする時に
とにかく「聞き上手」なんですよね。

これには感心した。

例えば私の場合…
仕事を終えて
ちょっと嫌な事があったりした日なんか
寅さんに電話をかける。

「おぉう、チコ。
どした?何かあったんか?」

「寅さん…ちょっと色々あってさ…聞いてくれる?」なんて言うと
柴又からすっ飛んで来てくれるわけですよ。

あちらはヒマですからね。

すると寅さんは寅やの草団子と
お酒を持って
我が家に訪れる。

お酌をかわしながら
私がグズグズ愚痴を言うわけですよ。

寅さんは終始
「そうか…そうか…」と頷きながら
「さ…もう一杯お飲みよ」なんて言って
お酒をついでくれる。

そして彼は必ずこう言うんですよ。

「俺は頭が悪いから細けぇ事はわかんねぇけど
チコも色々と苦労しているんだなぁ…。
もう…こうなったら
朝までパーッとやるか!な?!」

最高のカウンセラーだと思うんです。

皆、それぞれ悩みは抱えているけれども
結局の所
それを解決するのは自分しかないわけです。

それでも時々辛くなって
誰かに話を聞いてもらいたい時がある。

聞いてもらうだけでいいんですよ。

そんな時に
寅さんのあの優しさにふれたら
惚れちゃうかもしれないなぁ…。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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