キスの味

煙草は百害あって一理なし…と、言います。

患者さんのお口の中を拝見して
煙草のヤニがついていると
「あ…お煙草吸われますね?」と、伺うと
皆様、申し訳なさそうに
「はい…止めようとは思っているんですけどねぇ…」と、仰る。

そんな時私は
「あ…気になさらないで下さいね。
私もヘビースモカーですから」と、言うと
皆さん、ホッとしたよに
「そうなんですか?!」と、笑顔になる。

確かに健康の為には決してよくない煙草であるが
今は公共の場では殆ど吸えませんから
非喫煙者の方々にはあまり迷惑をかけていないと思いますし(多分…)
何しろ高――――――い、税金も納めているんですから
堂々としてりゃぁいいんですよ!と、付け加える。

「しかし、本当に煙草も高くなったわよね…。
どんどん増税されるしさ。
私の煙草は一気に1.5倍の増税だからね」と愚痴ると

皆さん「本当に困ったものですよ」と、うなだれる。

例えば、所得税がある日突然
1.5倍に増税されれば暴動がおきますよ。

しかし喫煙者というのは
「煙草=社会悪」という後ろめたさがあるから
声を大にして文句は言えない。

「『煙草税の減税のマニュフェスト』で
議員に立候補してみようかな…」と、言うと
「絶対に立候補してくださいよ!
投票しますから」と、仰って頂けるが
間違いなく落選するな…。

さて…
昨日も面白い患者さんがいらした。

「俺は昔からエコーしか吸わないんです」

随分とレアでレトロで強い煙草である。

「まぁ…他にしいていえば
ハイライト、ショートホープ、セブンスター位ですかね。」

私は強い煙草を吸う殿方は好きなので
うんうんと大きく頷く。

そこまでいくと潔さを感じる。

しかし私の友人でも
煙草を止める人が増えてきた。

学生時代はマルボロをかっこ良く 吸っていたY氏も
もう煙草を止めて3年になるという。

「もう煙草を吸う女性とは付き合えない」と、言っていた。

あらそ…。

「あのさ、キスの味が全然違うんだよ…」と、言う。

絶句した…。

「そ、そうなの?
そんなに違うの…?」と、恐る恐る聞くと

「全然っ!違うぜ」

へぇ…。

嗜好品が大好きな私も
一瞬本気で止めようかと思った。

しかし
彼はハンサムでリッチな独身貴族であるから
若くて可愛い彼女が沢山いる様であるが
私の場合はいかんせん需要がない…(嗚咽)

煙草をやめれば
若くてハンサムな殿方から
どんどんそういったオファーがあるなら
喜んで止めますがね…
悲しいかな
そういったオファーは皆無っ!!!!

毎日キスをせがんでくるのは
我が家の犬達位なもんですからなぁ…。

「ママと“キシュ”したい人〜〜〜〜〜〜っ!」と言うと
犬達は喜んで飛びついてきて
顔じゅうペロペロと舐める。

犬はいいですよ。

煙草をやめろよ
キスの味が全然ちがうから…なんて言わない。

まぁ…しかし人生80年…
この先、何があるかわかりませんからなぁ…。

一応、「禁煙」という事も頭の隅には置いておきますか…多分…。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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