ベロニカ

映画というのは
年間当たり何本位製作されるのか…。

一日に少なくても1本以上は
映画を観る様にしておりますが
それでもやはり見落としている作品も多いなぁ…と
つくづく痛感させられた1本に遭遇した今朝の事。

その作品は「娼婦 ベロニカ」1998年、米の作品。




これをただのラブストーリーとして楽しむにもいい。
脚本がとてもよく出来ているし
映像も絵画の様に美しいですからね。

しかしこの作品は
他にも色々と興味深い内容が凝縮されている。

まずはキャスティングがすごい。

今でこそ米のテレビドラマ界のスターの面々が
脇役やエキストラで多数出演しているので
「ウォーリーを探せ」的に
「スター探し」してみるのもよし。

またはこれを
主人公であるベロニカ・フランコという
実在の人物の半生を描いた作品である…という
観点から観るのもいい。
当時の世相、風俗が色濃く反映されており
非常に興味深い。



主人公のベロニカの仕事は
コルティジャーナ…高級娼婦。

これは映画設定の1583年当時のベネチアでは
きちんと市民権を得ていた職業だったようですね。

この時代は
女性に求められていたのは
貞淑な妻である事と
子供を産む事だけ。

また結婚する時には
花嫁側が持参金を持って
花婿側に嫁ぐのが習わしとなっていて
持参金を払えない家の娘は
生涯結婚せず、尼層院に入るくらいしか
生きる道が無かったそうです。

そこで他の選択肢として
女性の仕事として
コルティジャーナというものが出来たらしい。

コルティジャーナとはもともとは「宮廷女性」の意味。
宮廷のサロンで集う人々の事を指した言葉らしい。

コルティジャーナは他の娼婦とは違い
美しいだけでは勤まらなかったんだそうです。
顧客が国家元首や有志ばかりですから
彼女達に求められたのは
教養…政治、経済、古典文学、歴史、社会情勢など、多岐にわたって知っている事が重要で
また、パーティーに同伴した時に
貴婦人としての振る舞いも重要だったそうです。

マリーアントワネットをご存知の方なら
知っていらっしゃると思いますが
ルイ15世の公妾のポンパドール婦人も
こういった女性でしたよね。

マリーアントワネットの映画を観ると
ポンパドール婦人は「悪者」という風に描写されがちですが
彼女はとても美しい女性で
肖像画を観てびっくりした記憶があります。

また知性も教養もあり
ファッションセンスも抜群で
宮廷ではポンパドール婦人は人気があったそうですね。

さてベロニカ。

面白いエピソードがある。

ベネチアは当時オスマントルコ帝国と長年の宿敵で
この1583年、ベネチアは敵に対して劣勢の状態であったわけです。
そこでフランスに援軍を求めるのですが
ベロニカは
当時のフランス王、アンリ3世と一夜を共にして
彼を夢中にさせ援軍の快諾を得る事ができた。

そしてベロニカは「救国の人」と讃えられたのだそうだ。

歴史の陰に女あり。

歴史というのは
教科書には載っていない裏話や
プチエピソードが楽しい。

美しくて
頭が良くて
教養があり
知識も豊富で
仕事も出来る女性。

こんな女性がいたら私も好きになりますね。

ベロニカをはじめとする
コルティジャーナの人々の事を考えたら
ワクワクしてきて
彼女達の事をもっと知りたくなった。
色々と調べてみようと思う。

今日の明け方…
何気なく観た映画から
わくわくさせられる宿題を沢山貰った。

こんな日はとても気分のよいものですね♬

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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