母の事

うちの母の昔からの口癖は
「教育とか技術は火事になっても燃えないのよ。
きっちりと頭の中に入っているからね。
でも物質は燃えてなくなっちゃうからね。
だから、教育にはお金はかけてあげるけど
くだらない物は買ってあげません」でした。

そして彼女自身が
嫁として、妻として、そして母として
身びいきな様ですがよくやってくれたと思います。

しかし女性としてどうだったか…と聞かれれば
完全にその部分は捨てていたと思う。

やれ化粧品だのお洋服だのバックだのと
彼女自身には一切お金をかけなかった。

全て、子供達の為にやりくりしていたわけですね。

私はマザコンですから
母の事は心から愛しておりますが
「女を捨てる」という部分は
昔から共感できなかった。

さらに私は学生時代にその辺の彼女の性格を悪用して
「お母さん…医学書を買うからウン万円振り込んで。」と電話をするわけですよ。

「えぇっ?そんなに高いの?!!!」と、母。

すると私は
「そりゃあそうよ。有名なG先生が書いた本だし…。
それがないと国家試験落ちちゃうかも…」

本当に悪質な恐喝ですね。

そして振り込まれたお金は
もちろん医学書なんぞは買うわけもなく
母の言うところの「くだらない物」に散財していた学生時代でございました。

そんな能天気な学生時代を過ごし
結婚をして
今度は母の代わりに夫が私のお金の管理をしてくれるようになった。

毎月くるカードの請求書を見てはため息をつく夫に
「何よっ!一生懸命働いているんだからいいでしょっ!
まったくもう…辛気くさくため息なんかつかないでよ!!!」と、逆ギレする始末。

本当に放蕩三昧の私でございました。

しかしこの放蕩三昧生活も
40も半ばにさしかかると流石に嫌気がさしてくる。

そして最近では
今まで全く関心のなかった帳簿なんぞを目にする様になると
本当に無駄遣いをしてきたなぁ…と、愕然とする。

父も小さな個人病院をやっておりますが
私自身が開業してみて
これで子供4人を育ててくれたんだなぁ…と思うと
学生時代に親のスネをかじりまくっていた自分自信が
情けなくなる。

どうやって、やりくりしていたんだろう…と、考えてみる。

すると結局
母は子供の教育費の為に
自分の物は一切買わない…
つまり女の部分を捨てざるを得なかったんだなぁ…と、思ったわけですよ。

彼女は結婚前は銀行に勤めておりまして
その独身時代に写真を見てみると
昭和30年代当時の流行だった今の皇后美智子様ファッションの様なスーツを着て、
結構オシャレを楽しんでいた様子が伺えるわけです。

なんか申し訳なくなっちゃったわけです。

さて…
何故今日はこんな話をしたかと言うと
昨日、幼なじみの優子が治療に来てくれた。

最終アポイントという事もあり
色々と話が盛り上がったわけです。

両親が大好きなくせに
なかなか感謝の気持ちを彼らに上手に表現できない私の性格を、
熟知している優子に
「チコちゃん。私とのランチはいつでも出来るんだかさ…
そんな時間があるなら、
パパやママの所に顔を出してあげなさいよ」と、言われたわけです。

うちの両親も70を過ぎましたし
優子自身も数年前に
とても素敵なお母様を癌で亡くされた経験があるから
彼女の言葉はとても重みと思いやりがあって
思わず涙がでちゃったんですねぇ…。

鬼の目にも涙ですよ。

最近、ちょっと弱気キャラの私です…(笑

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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