天才芸術家

私が3歳の時に母はピアノを買い
私に習わせ始めた。

そして彼女は
「世界的ピアニストの中村紘子さんていう人がいるんだけど
お医者様と結婚してね
プロポーズの言葉が
『家事等一切やらなくてもいいから
ただピアノだけ弾いていてくれればいいので結婚して下さい』だったんですって」と、
小さい私の耳にタコが出来る程
嬉しそうに言って聞かせていた。(本当かどうかは知りませんけど)

そして先日のピアノのレッスンの時に
己の練習不足を深く反省した私は
その中村紘子さんの話を夫に聞かせ
「そんなわけで
私も仕事以外の時間はピアノに没頭させて頂きますっ!」と宣言。

彼はたいして興味のなさそうに
「あそ。ご自由にどうぞ」との事。

「どっちみちさ…あなたメタボでしょ。
これを機にダイエットしなさいよ。
そうすればあなたは減量できるし
私は食事の支度をしないでも済むし…一石二鳥でしょ」

「まぁ…チコの好きな様なすればいいよ」と彼。

もともと彼は
所謂奥様らしい事を配偶者に求めていないようで
というか、私に求めても無理だと諦めているのか
ごちゃごちゃとうるさい事は言わないので
こちらとしては非常に助かっている。

しかし
いくら私が悪妻中の悪妻であっても
多少は彼に対して気が引けるのも事実。

そこで
「ゴイサン…仕方がないよね…
だって天才芸術家をお嫁さんにもらっちゃったわけだから
ある程度は妥協してもらわないとさ」と、トンチンカンな弁解をした。

彼はせせら笑っておりました。

さて
では没頭しましょうか…と、ピアノの前に座り暫く弾く私なのですが
このインチキ天才芸術家は
いかんせん…集中力がない。

ちょっと弾いては
ツイッターでつぶやいてみたり
ちょっと弾いては
ソファに寝転んで雑誌をめくってみたり…
結局…ただの怠け者だったのですなぁ…。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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