心理戦

子供の歯科治療の話。

乳歯も永久歯も
基本的には治療は同じで
虫歯になれば削って詰め物をする。
歯の根の先に膿が出来て
歯茎が腫れれば根の治療をする…等
大人も子供も一緒です。

しかし一つだけ注意しなければいけないのは
小児歯科の場合
子供が泣いて暴れてしまってユニット(診療台)に座っていられない…という
ケースが時々ある…わけですね。

しかし無理矢理押さえつけて治療するのはナンセンス。

私は小児の治療にあるひとつのラインを決めています。

三歳。

この年齢を過ぎたお子さんは
器具の説明、治療内容等
根気よく説明すると
ほぼ100パーセントスムースに治療が出来ます。

基本的に大人も子供も“歯の治療”なんて
出来る事ならしたくない…わけですから
子供にしてみれば
ありったけの力を振り絞って
抵抗するわけです。

しかし
きちんと状況を理解すれば
非常に協力的になれるのですな。

それでも著しく抵抗する場合
“母子分離”といって
付き添いのご家族の方に
待合室に出てもらって待っていてもらう場合があるんですね。

するともう
「むぁむぁ〜っ(ママ〜ッ)!!」と
更に大声をはりあげて泣き出す。

それでもいいんです。

その後どうするかと言うと
“ほっておく”んです。
そのまま目を合わせずに泣かせておく。
もう根競べですね。
すると
10〜20分位経過すると
相手も疲れてくる。

でも一応「え〜ん」と泣き声は出す…けど
最後の頃になると泣いてないんですな。疲れているから。
うそ泣きなんですねぇ。

相当疲れてきたなぁ…という頃を見計らって
「どう?疲れたでしょ?

どうも。はじめまして。
美人天才歯科医のチコ先生です。
よろしくね。
○ちゃん、何歳?
何歳って聞いてんのっ!
え?
ふ〜ん、4歳なんだ。
私はね35歳。…なんてねっ!うそ。40過ぎてます〜っ!!

ってゆうかさぁ…
うそ泣きしてもわかるんだよなぁ…私。
何故かって言うとね
先生も都合が悪くなると
うそ泣きするからね、ダンナにね。
ま、うちのダンナはそれで折れるけどぉ
私はねぇ
うそ泣きされても絶対折れるわけにはいかんのよ。
虫歯をそのまま放っておけないからねぇ…。
因果な商売ですよ…ぶっちゃけ。
ま、
ここでずっと泣きながら先生と暮らすか
パッと虫退治してママの所に行くか
好きな方を選べば?」
な〜んて感じで
三歳を過ぎた子供相手に
大きなマグカップでコーヒーなんぞをすすりながら
低い声のトーンで淡々と話をすると
ほぼ100パーセントの子供は
ユニットに寝転んで自ら口を開けるんですなぁ。

彼らには細かい話の内容は伝わらなくても
“この人にはワガママは通用しない”という事と
“口を開けずにダダをこねていると
このままママにずっと逢えずに
このおっかないオバサンと暮らすハメになるかもしれない“という事が
判断できるボーダーラインの年齢が三歳だと思います。

そしてきちんと治療が出来たら
もうオーバーリアクションで大げさに褒める…これが一番重要。

付き添いの方にもお願いして
その日の夕食時などに
「○ちゃんはすごく偉かったんだよ。
ちゃんと歯医者さんで治療が出来たんだよね」という話題を
食卓に持ち込んで頂き
家族で褒めてあげるようにしてもらいます。

すると次の治療の時には
得意気に大きな口を開けてくれるようになります。

むしろこんな風に最初に母子分離をしたお子さんほど
非常に協力的になる傾向が高いような気がします。

小児検診の多いこの時期
子供達との心理戦に奮闘しています。

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昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記

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