昭和大橋歯科医院 Dr.chicoの日記
前橋の昭和大橋歯科院 院長Dr.チコの日々の想いを綴っています。
挨拶、笑顔、返事
「あいさつ」「笑顔」「返事」。
この3つが出来れば人間それでよい…と
母が常々申しておりました。
以前勤めていた歯科医院での事。
初診でいらした患者さん。
なかなかハンサムな男の子で
秀才っぽい感じ。
私「どうもこんにちは!」
彼「…」
私「○○さん…ですよね?
こんにちは」
彼「…あぁ…」
私「今日はどうされました?」
彼「右上の歯なんですけど
他の歯医者で治療途中で行かなくなっちゃって…。
すごく痛いんですけど…。」
一連の検査の後、根の先に膿が溜まっているので
根の治療が必要な旨、お伝えしました。
彼「今日中に治してもらいたんで。」
私「今日中に痛みを取る事は出来るけど
何度か治療に来てもらうようになると思うよ。」
すると
彼「もうすぐセンター試験が始まるし
その後は国立の入試が控えてるんでぇ
とにかく今日中に治してもらいたんでぇ」
私「う…ん」
彼「やっぱぁ
大学入試の方が大切じゃないですかぁ。
だからぁ
とにかく今日中に治してもらいたいんでぇ」
ここでふと考える。
たぶん彼はセンター試験で好成績を残し
念願の国立大学にも合格したでしょう。
その後は官僚とかになっちゃって(あくまでもコレ想像ですけど)
エリートコースを突き進み
国政とかを司っちゃうわけですよ。(ですからあくまでも想像です)
(ま、やれイケメンだの何だのとチャラチャラしている
私のような下々の町医者風情が国政云々言うのもナンですけどぉ。)
しかし「こんにちは」という単純な挨拶が出来ず
とにかく今日中に何とかしてくれと駄々をこねる彼が
いわゆるエリートとして国の中枢に行くのかなぁ…と
わずかではありますが納税している者として
一抹の不安がよぎるのでした…。
だんだん自分が歳を重ねていくと
つくづく人間は学歴じゃないなぁ…と痛感します。
母の言う「人間は挨拶、笑顔、返事。これだけでよい」とキッパリ言い切る彼女の言葉が
何となく最近わかるような気がします。